今、日本の高齢者の5%はうつ病と言います。
高齢者のうつ病を特に、老人性うつ病といいます。
高齢になってからうつ病になった人は、それまで十分に頑張ってきたのに、
「一体何の為に頑張ってきたのかわからなくなった・・・」
という心境のために、発病することが多いです。
例えば、サラリーマン時代には健康そのものだった人が、
退職後に仕事をする達成感を味わえなくなり、生き甲斐を失ってしまうことで、
老人性うつ病を発症するケースも少なくありません。
老人性うつ病では、若い人のうつ病と比べると、抑うつ症状が激しくない傾向にあります。
高齢者の場合、身体に病気が出ることで、心を病んでしまうこともありますし、
逆にうつ病になることで、身体にも悪影響が出やすいです。
そのため、「うつ病」であることに気付かれない結果、
どんどん症状が悪化していってしまうのです。
認知症老人が時に、活気のなさや不安げな様子を見せることから、
老人性うつ病はしばしば、認知症と間違われることがあります。
高齢者が自分で「うつ病」に気付いて病院に行くことは稀です。
たまたま「最近、物忘れが激しくなってきたなぁ」と、認知症を疑って病院に行くと、
うつ病が発見されるというケースが圧倒的に多いのです。
そもそも、本当に認知症なのであれば、物忘れがあること自体に気付くことはありません。
老人性うつ病では、今まで関心のあったことに対して興味を失ったり、
注意を集中させることができなくなったり、物忘れをするといった症状があらわれ、
それらの症状が一見すると認知症に似ているため、見分けることが難しい場合があります。
こうした、実際はうつ病であるのに、症状から認知症と間違われてしまう状態のことを、
「うつ病性仮性認知症」と呼びます。
「うつ病性仮性認知症」と「本当の認知症」を見分ける方法としては、
「うつ状態になる変化がはっきりしている」、「変化が起きるきっかけがはっきりしている」、
「短期間で変化が表れている」、などの特徴が挙げられます。
これらが認められれば、認知症ではないので、老人性うつ病として適切な治療を施す必要があります。
他にも、実際に抗うつ薬を服用してみて、効き目があるかどうかで判断するケースもありますが、
うつ病を発端に、結局本当に認知症になっていくという事例も少なくないようです。
老人性うつ病の特徴としては、憂うつで落ち込んでいて、自分を責めたりしていたり、
うつ病による症状が現れても、本人がそれを年のせいと思ってしまう場合があります。
高齢者の場合、うつ状態になっても、
「行く末の短い年寄りが、悲観的になったり、多少落ちこみはしても、仕方が無い」、
ぐらいに考えてしまうため、対応が遅れがちになってしまうのです。
例えば、長年連れ添った妻や夫が亡くなると、当然元気はなくなります。
でも、その抑うつ感が何ヶ月も続くようであれば、うつ病も疑われます。
パートナーが亡くなることで、それまで元気で、とてもうつになるような性格ではなかった人でも、
木がポキッと折れるように、突然うつ病を発症することがあります。
他にも、老人性うつの原因には、子どもに対する不満がストレスとなり、
うつ病を引き起こしているケースもあります。
子どもがうつになり、親がそれを心配してうつ傾向になるケースや、
逆に親がうつ病になることで、介護に追われて疲れきってしまった子どもまで
うつ病になってしまうケースも。
これらは最悪の場合、共倒れになる可能性があります。
実はあまり知られていないことですが、65歳以上になると、
うつ病でも介護保険サービスは受けることができます。
「年のせいだから・・・」と諦めないで、積極的に治す事を考えていきましょう。