私の母は今、76歳になります。
その母が一昨年、「老人性うつ病」と診断されました。
きっかけは、自転車で転倒したことでした。
母は元々、運動神経が良くて同年代の人と比べて身体も柔らかく、とても活発に動いている人でした。
その母が近所の人たち2~3人とお墓の掃除に自転車で出掛けた時、転んだのです。
最初は身体全身の痛みと、
「今までの私だったら自転車に乗っていて転ぶなんて考えられなかったのに、転んでしまった」
ということがショックだったのだろうと思います。
自転車で転んで身体をアスファルトに打ち付けた痛みと、
「自分の老いを認めなくてはならない」という心の痛みは本当に辛かっただろうと思います。
その時を境に母の元気がなくなり、目に力がないというか「生き生きしていないな」と感じるようになりました。
料理の好みも以前とは異なるようになって、最初は「軽い認知症になってしまったのかな?」と思いました。
母は実家で1人暮らしをしているので、どうしても会話がすくなくなりがちでしたが、
近所の人や友達との交流が多く社交的な人でした。
それが近所の人も高齢になり亡くなったり、身体のあちこちが痛くなったりして
今まで交流があった母の友達とも疎遠になったことでも寂しさが増したのではないかと思います。
「何となく、母の様子が変だ」
そう思って、母のかかりつけの担当のお医者さんに
「認知症になり始めたんでしょうか?」と質問をしてみました。
そうしたら、先生が精神疾患専門の病院に紹介状を書いてくれて、その病院に後日行ってみました。
そうしたら、認知症ではなく「老人性うつ病」だと診断をされました。
この2つの病気は症状がよく似ているのだそうです。
「食欲がなくなった、好きなテレビを見なくなった、
出掛けることが少なくなった、笑顔が少なくなった、
落ち着きがなくなった、便秘がちになった」
という6項目のうち2項目以上あてはまれば「老人性うつ病の可能性あり」だそうです。
さらに「不眠を訴えるようになった、不安や焦燥感を口にする、
特に悪いところがなくても、身体のどこかが悪いと悩む」
という項目が1つでも当てはまると、すぐに精神科を受診した方がよいそうです。
身体の病気に限らず、心の病気も早期発見・早期治療ができれば早い対応ができるので
家族は「あれっ、いつもと何か違うな」と感じたら早めに対処することが大切だと思います。
親の老いを認めて、向き合うことは辛いことでもありますが「それも子供の役目かな」と思うのです。
母も今は内服薬のおかげで、うつの状態がおちついています。
早期に発見して治療に取り組むことができて良かったと思います。