私の姉から突然電話がきた。泣きながらだった。
私より4歳上の姉で頭も良く尊敬していた姉。
いつも冷静でしっかり者の姉の取り乱した様子にびっくりした。
内容を聞いてみると姉の息子さんが突然学校に行かなくなったという。
私は学校でいじめがあったのか?と原因を聞いて見た。
毎年お正月には親戚で集まり顔をよく見ていた姉の子供、やっくん。
スポーツ少年団に入りキャプテンもしていた。
明るく元気な男の子で学力も優秀で、
ハキハキ自分の意見も言えるような非の打ち所のない良い子だ。
私にも子供がいる。
喘息持ちで病弱な我が家の子供とやっくんを比較して見ても残念だが、
我が家の息子が惨敗だ。
そんなはたから見たら完璧なやっくんがなぜ学校に突然行かなくなったのか?
姉に詳しく聞いて見た。
すると12月の塾の学力テストの結果を姉に見せた時のことらしい。
自分なりに頑張ったが成績と順位が以前より落ちてしまったらしい。
姉の夫は東大卒業、姉も有名私立大学卒業していて優秀なのだ。
無論息子も有名中学に入れたいので、
小さい頃から塾に入り親の期待を受け子供なりに頑張っていた。
姉も軽い気待ちでやっくんにまだ頑張りが足りないね。
まだ頑張れるはずでしょう。
と応援のつもりだアドヴァイスしたらしい。
すると息子のやっくんは、目に涙をため嘔気な声で姉を怒鳴ったという。
お母さんは僕がどんなに頑張ってもまだできる。頑張れる。
と期待して今の頑張りを全然認めてくれないし褒めてくれない。
どうして褒めてくれないのと。
姉はハッとした。
良かれと思って発破をかけていたつもりなのに息子を追い詰めていたんだと。
それ以来新学期が始まっても登校せず一年以上登校拒否で中学を休んだ。
困り兼ねて心理学を先行していた私に姉が相談してきたのだ。
私の息子は先ほども言ったように喘息持ちで学校を休みがちだったので成績もさほど良くない。
でも人の優しさのわかるとても良い子だ。
上の子を流産したので生まれてきてくれて普通の子供と同じように生活できれば
それ以上を望まないと心に決めて育てたから欲も何もないよ。と姉に伝えた。
理想を振りかざさず息子のやっくんのありのままを受け入れて見たら?
心に寄り添ったら?とアドバイスした。
周りの意見にとらわれず、目の前のやっくんだけを見たら?
自分の仕事も大切だけど子供は比べ物にならないくらい大切で愛おしいでしょう?
息子のやっくんにちゃんと母親じゃなく、同じ人間として謝り向き合うように伝え、
そんな生活から半年、やっくんは学校にも戻り、うつ病も治り今は受験して高校にも通っている。
親子向きあえばいつか分かり合える。
お互い心を解放して本音を言い合うことが一番だと思う。