家族にうつ病の患者がいると、周りの家族は色々と気を使ってしまいます。
とはいえ、うつ病の家族が心配だからといって、
一日中、横にいて、「今日もダメそうなの?」、「散歩でもしてみたら?」
「薬飲む?」、「何か食べたいものある?」などとあれこれ言われては本人も家族も大変です。
少し離れたところから、見守るようにしましょう。
精神的な負担をかけないようにと、大げさに配慮しようとするあまり、
かえって患者本人からしてみれば、「やっぱり自分は迷惑な存在なんだ」ととらえてしまいかねません。
患者が、少しネガティブなことを口にしただけで大騒ぎされては、気楽に口もきけなくなってしまいます。
では、どうすればいいのか?
具体的には、「今どのような様子なのか、何をしているか」を、視界のはしにとらえておくような感じです。
「あなたのことを気にかけているのよ」ということを、言葉ではなく雰囲気で示す、というイメージです。
話題にすること自体が引き金になりそうだからと、
「自殺」を考えているのか本人に聞きたくても、躊躇してしまうかもしれませんが、
「生きているのが辛いと思う?」など、端的かつ真剣に聞いてみるのが効果的なこともあります。
うつ病の人が放つ「死にたい」という言葉は、「助けてほしい」というメッセージなのです。
もし、本人が亡くなってしまうと、家族は「自分のせいだ」と思い込み、悲しむことになります。
客観的にみても家族にはどうしようもなかった場合でも、「なんとかできたはず」と嘆きます。
その悲嘆は一生続くこともあるのです。
本人のためにも、家族のためにも、本人から目を離さず、温かく見守るようにしてください。
ですから、あまり気を使いすぎて、腫れ物に触るように接してはいけません。
うつ病の人を特別視するのではなく、普段と同じように自然に振舞うのが一番です。
どうすればいいかわからない時には、「何か手伝えることがないかどうか」を聞いてみてください。