家族の一人がうつ病になり1年ほど治療を受けていました。
きっかけは職場での人間関係だったようです。
もともと生真面目で几帳面なタイプで、病気になる前は明るく人付き合いも良かったのですが、
徐々に様子がおかしくなりました。
まず初めに気付いた異変は急激な体重減少です。
最終的には10kgも体重が減少し、あばら骨や肩甲骨が異様に浮き出て見えるようになりました。
指摘しても本人に自覚はなく、食事にもいろいろ工夫をしたのですがほとんど食べませんでした。
現在は完治していますが、あの頃のことを尋ねると
「食べたくても食べられなかった。食べろと言われるのがものすごく辛かった」
とのこと。
病気の知識がなかったために逆に辛い思いをさせていたのだと後で知りました。
元気づけようとして一緒に温泉に行ったり、買い物に誘ったりしましたが
車の中で横になっているばかりで、楽しそうには見えませんでした。
それなのに仕事は一切休まないし、ジムにも毎日出かけていきます。
一見きつそうだけど、実は元気なのかなと思ったりもしました。
これも後で聞いたことですが
「気が狂いそうになってこともあった。
でも決めたことはやらなければならないという強迫観念みたいなものがあって、
後にも先にもすすめないような心境だった」とのこと。
うつ病だと気づかなかったと言えばそれまでですが、
今考えれば「家族が精神病だなんて恥ずかしい、認めたくない」という思いもあったのかもしれません。
最終的に友人が病状に気付いて、病院を受診するよう勧めてくれました。
「うつ病」だと診断され、はじめて本などで病気のことを学びましたが
実際はどうしていいのかわからずただ見守るという感じでした。
薬を飲みながら治療を続けましたが、最終的に仕事は辞めることになりました。
仕事を辞めてからは徐々に回復し、現在は別の職場で元気に働いています。
家族がうつ病を患った場合、他の病気と違い他人に相談することが難しくなります。
今回のケースも友人が異変に気付いてくれたから良かったようなものの
放置していたら最悪の事態を招いたかもしれませんでした。
完治した今「自分で自分をコントロールすることがまったくできなかった。
頑張れと言われる言葉が、まっすぐには自分には届かない。
あんなに苦しいものだということは病気にかかった人間にしかわからない」と言っていました。
うつ病はまわりの理解を得にくい病気です。
私自身も家族として十分なことはできませんでした。
やはり専門家に指示を仰ぐのが一番なのではないでしょうか。