「口から生まれた」と揶揄されるほど私の姉はおしゃべりです。
話し方として相手の返答を必要としないような、相手をサンドバックにする形のトークを好み、
それはそれで面白い時もありますが毎日相手をするにはしんどいのも事実です。
そんな喋り方なのに話し相手は生身の人間しかだめなのがネック。
相手の返事や言葉がいらないならぬいぐるみや観葉植物に話しかけてくれたらいいのに…
と思っていたのですが先日朝ドラを見ながら
15分の間に喜怒哀楽の全部をフル活用しテレビに話しているのをみて
追加注文で「一人のときに」が入りました。
そんな姉が一年前から鬱を患いました。
起きていれば喋ってるひとが一言も言葉を出さず二カ月間心労を話さない様は
どれほどの強烈な体験があったのか、想像を絶します。
姉にとって喋ることは何よりのストレス発散。
だんまり時期が過ぎると私に対するトークサンドバックとしての扱いが鬱の前より、より一層ひどくなりました。
私も何か助けになるかなと接していてわかったのは、
「鬱には気持ちを言葉に出すことが一番の薬」だということです。
姉とは違い口下手で自身の内側に言葉をためてしまい鬱になる方もいらっしゃるかと思います。
しかしそこからでも、たった一言づつでもよいので心労で凍りついた心を言葉にして
溶かしていくのが大事なんだと思います。
それは言葉としてなりたっていなくともよいものであり、吃音やどもりがあったとしてもくちに出していくこと。
くちに出すのが怖いなら文字にしてみること。
最初は愚痴や不満から言葉にして吐き出していくのがよいでしょう。
何がつらかったとか、苦しかったなどを言葉にしていくのですが、
もうひとつのポイントは「ネガティブな言葉にとらわれないようにする」ことです。
愚痴や不満は出すのも大切ですが言葉にしすぎることで自身をその負な感情に縛って、
それしか考えられなくなってしまいます。
まったく愚痴や不満を言わせないようにすることは不可能ですが、
会話の合間に話の流れをポッキリ折る勢いで話題を変える必要があります。
「今日は何が食べたい?」とか「明日はどんなことがしたい?」など、
すごく近い未来の話をふり、それについて思考することが必要です。
これまでの心労といった「足元の不安」と、半年後や一年後といった「遠い未来の不安」は鬱を加速させます。
「今現在」の心の整理整頓と安定に対して思考し言葉にしていくことを始められたら、
それは着実な回復への道といえるでしょう。