学生時代の仲の良い友達がうつ病を発症しまして、もう50年近くになります。
彼女は学生時代とても明るく、また頭の良い方でした。
周りの友達からも、「少し変わっているけど、面白いよね」と、
特段普通の人と変わらなかったし、むしろ少し人と違う性質の子でしたので、
不思議な子で会話をしていても、一つの話題にとどまることはなく、
話が尽きず楽しかった、そんな存在でした。
それなのに、まさか彼女が職場でいじめにあうなんて。
そしてまさか、そこからうつ病になるなんて。
いつもにこやかに自分の話をする彼女が、短大を卒業し、
地元のデパートの案内ガールとして就職しました。
デパートという華やかな職場の中で、まさか彼女がいじめにあうなんて思ってもいませんでした。
私に日中となく、夜となく電話をかけてきて、
「どうしたの?」「何があったの」と聞いても何も言わず、ひたすらしくしく泣くだけ。
でもある時かかってきた電話の声はすごく明るくて、
「あ、なおったんだ。良かった」と思っていたら、
次にかかってきた電話の彼女は全く別人?と思うよほど沈んでいて。
これがうつ病の特徴なのでしょう。
私にできることはなんだろう。
彼女に何があったのか聞いても、職場でいじめにあったという一言だけ。
そして彼女からの話題といえば、学生時代楽しかった、いわば思い出話だけ。
彼女だけ、時がそのまま止まってしまったかのよう。
現実から逃げたい気持ちが、彼女をそうさせているのかも、と思いました。
ある友達は、心理学を勉強したこともあり
「大丈夫。私に任せて」と言っていたので安心していたら、
ある日、その友達から電話がかかってきて
「私には手に負えない。彼女と会うとすごく疲れてしまって、家に帰るとぐったりと寝てしまうほど」
との内容。
彼女の苦しい気持ち、辛かった気持ちなど、全部自分で受け止めてしまったのでしょうか。
その友達は、以来彼女に会うことはなくなりました。
私は彼女との接し方ではいろいろ考えさせられました。
彼女を傷つけないように、少しでもよくなるようにどんな言葉を彼女にかけてあげればよいのか。
私なりに考え、腫れものに触るような接し方ではだめだ。
学生時代と同じように、いつもの私で彼女と接することを心がけよう。
彼女も安心したのか、自分の味方だと思ったのでしょう。
「直美ちゃんといると安心する。眠る前に声を聞くとぐっすり眠れる」とある日私に言いました。
もちろん私は、そんな彼女の気持ちを受け止めてあげることが、彼女にできることだと思い、
電話がかかってきた時は、彼女に寄り添いいろいろなお話をしました。
他愛もない話でも、彼女はケラケラ楽しそうに笑っているので、それで良しとしました。
彼女は教会に通っては神父さんのお話を聞いたり、心療内科にもお母さんと行っています。
自分の辛い気持ちを人に話すことで、自分の気持ちが解放されるのだと思います。
彼女は今現在も100%治っていませんが、
私は彼女が私を必要としている時は、彼女を受け止めたいと思います。
それが私にできることだと思うからです。