職場にいるうつ病の方との接し方

職場の後輩にうつ病になった方がいました。

同郷ということもあり以前から親しくしていた同僚ですが、

課内の担当配置換えで定年間近のベテランと毎日ほぼ二人きりで業務をこなすようになってから

二か月ほど経ったある日から、彼は出社しなくなってしまいました。

 

上司からは「彼は心を病んでいるらしい」と話しを聞いていましたが、

私にはその理由があまり理解出来ませんでした。

 

確かにベテラン社員は昔ながらの「見て覚えろ」タイプで具体的な説明をせず、

かと言って動きが悪ければ叱責に近い言葉を浴びる毎日、

それに二人きりという閉鎖空間にストレスを感じることは想像できます。

 

しかし、仕事はそもそも何かしらのストレスを感じるものですし、

仕事をおぼえるまでは我慢も必要だろうと考えていました。

数日間休んだ彼を心配し、私は連絡を取りました。

いえ、心配してというのはやや誤りで、

本当は「何をやってるんだ、頑張ろうぜ」と強引な激励をするつもりでした。

 

しかし、彼と会い、少しの会話をかわして私は言葉を失ってしまいました。

彼は「身体がおかしいんだよね。夜に一人になると手が震えるし、

朝は頭では『会社に行こう』と思っても、本当に身体が鉄になったみたいに動かなくなるんだよね」

と笑いながら私に言うのです。

 

私が「今の担当が辛いのか」と聞くと、彼は「まあ、前の方が慣れてて良かっただろうけどね。

でも、新しいことも覚えなければ仕事の幅は広がらないしね、いいチャンスだと思ってるんだけど。」

と私が言おうとしていた前向きなことを口にしました。

 

そして彼は、身体の不調を見た彼女が精神的な疲れから来るものではないかと心配し

心療内科に連れていかれたこと、そこでうつ病の可能性を示唆されたこと、

精神安定剤を服用していると確かに身体の調子がいいことを告白しました。

 

私は彼の言っていることが本当なのだろうとすぐに感じました。

そして、それまでは気が付かなかった彼の繊細な裏の部分をその笑顔の奥に垣間見た気がしました。

 

この日から彼が完全に職場復帰するまでには結果的に約3年を要しました。

幸い、会社も彼の復帰のために再配置換えや産業医による定期的な面談等と対策をとってくれましたが、

症状は良化しませんでした。

私も彼が出社する日だけでも明るい職場で迎えようと先輩、後輩に協力を口説いて回りましたが、

それでも症状は良化しませんでした。

 

私は毎日、少しでも彼と会って話しをするように努めましたが、

それでも目立って症状が良くなることはありませんでした。

 

職場復帰した後、彼から言われたことがとても印象に残っています。

「俺と会ってくれて、でも会話が途切れたときに、会社とか上司の愚痴を言ってただろ。

あれを聞いていると何だかとても安心したんだ。」

同じ立場、同じ目線に立って、同等に会話をする。

治そうとも、戻そうともせずに普通の話しをする。

そんな当たり前のことがもっと出来ていれば、

彼の復帰に3年もかからなかっただろうと今では少し後悔しています。



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