うつ病やうつ状態になった方に接した経験から言えることは、
接してみて、初めてうつ病の症状やサポートの仕方がわかり、
様々な情報からだけでは理解しがたいことが多いということです。
また、それぞれ原因や症状、完治までの流れが全く異なるので、
その方にあった接し方が大切だと実感しました。
初めてうつ病の方に接することになったのは、
以前、勤めていた職場の直属の上司がうつ病になり、休職された時でした。
そんなに大きな職場ではなかったので、私を含めて3人の部下がおり、
その3人それぞれの業務の総括と自分自身の業務を抱えていて、その上に上司がいるという構成でした。
この方はとても真面目でおとなしい印象のある方でした。
いつも感情が出やすかったり、熱く部下に接してくるタイプではなく、
いつも坦々の仕事をこなしておられました。
どんなに忙しい時も私の質問などに対応して下さり、とても頼りになる方でした。
2年目に組織変更があり、私たち4人だけ独立した部署として確立されることになりました。
独立するにあたって、私たち部下3人の業務内容は全く変わりませんでしたが、
恐らく今後の拡大に向けて、この上司の方の業務内容は増えていたのではないかと思います。
独立後、3ヶ月ほど経ったある日、上司が一度出勤したが、体調不良を訴え、退社されたのです。
そこから1年ほど休職されました。
あとから考えると、とても責任感が強く、ある意味頑固な性格で、
私たちが抱えている業務に支障がないようにと、自分のところで押しとどめていたのだと思います。
また、組織の中で同じレベルの同僚がいなく、愚痴やストレスを発散することができなかったのだと思いました。
休職1年後、職場復帰先は違う部署でしたが、私たちのところに挨拶に来て下さいました。
休職時は、それまでに見たことがないくらい衰弱した様子で、
泣きながら何度も迷惑をかけて悪いと謝られていましたが、
以前のように笑顔も見えて、しっかりと休養がとれたんだと実感しました。
この上司との経験があったので、転職後の上司の様子の変化に気付けました。
この職場は以前と違い、大変大きな職場で私も何十名か部下がおり、
そのような私たち3名を束ねる上司でした。
感情のアップダウンはあまりない方でしが、真面目で責任感はある方でした。
家族の方に体調を崩された方がいて、それと同時に職場の業務内容も増え、
少し重圧が重くなってきた頃でした。
御家族の様子があまり良くならないことと、自分の業務もうまくこなせなくなってきて、
日に日に表情が暗くなるというか「無」の状態になってきました。
明らかに様子がおかしくなったので、私から前出の上司との経験について話をし、
今の状態や気持ちを率直に話してほしいとお願いしました。
そして、なんとも言えない疲れ、だるさ、判断力の減少、やる気の減少と色々と出てきました。
最後に「でも、みんなに迷惑をかけたくないから」という言葉がでてきて、私はまず休息が必要だと訴えました。
業務のことは何も心配することなく、なんとかこなすから、悪化する前に休んでくださいと懇願しました。
結果、うつ病と診断され、約3ヶ月ほど休職されました。
復帰後に思いきって休息するきっかけを作ってもらえたと話してくれました。
うつ病の方と接するのは、とても気を使うし、わからないことが多いですが、
わからないことが多いからこそ、接してみて、話してみることが大切だと思いました。