「会社を辞めようと思うんです。」
「自分は会社にとって必要ない人間じゃないでしょうか。」
うつ病になった部下からは、
様々な相談を受けることもあるでしょう。
その際、まず注意すべきことは、
「がんばれ」という言葉は禁句だということです。
「がんばらなくてはいけない」と、うつ病の人は常々思っているのですが、
意欲が減退しているために頑張ることができなくて悩んでいるのです。
うつ病は、そういう病気だということを、まず頭に入れておいてください。
この点がうつ病と怠けとの最大の違いです。
ですから、そこへ「がんばれ」などと言われると余計に焦ってしまうわけです。
上司の側から何か言って励ますのではなく、
まずは相手の話をよく聞くというスタンスで接するのが、
うつ病の部下への接し方の原則になります。
まずは受け止める
うつ病の部下が、「自分は会社には不要な人間だと思います。」
「会社を辞めようと思います。」などと言ってきたら、まずは受け止めてあげてください。
ただし、部下の家庭環境や悩みまで含めて全てを受け止めるという意味ではありません。
重要なのは、「あなたの話をきちんと聞きますよ」という態度を示すことです。
もし、時間がないのであれば、
「明日のお昼休みなら時間があるよ」と時間枠を明確に確保してあげてください。
「受け入れてもらえた」と感じるだけで、うつ病の人はかなりの安心感を得ることができます。
うつ病のサイン
会社では、その人の私生活のことまで把握することはできません。
でも、職場での仕事ぶりによって、うつ病のサインを知ることは可能です。
働き盛りの世代のうつ病の症状は、職場と家庭では異なる形で現われることがあります。
職場では、以前よりイライラしたり、怒りっぽくなることもあります。
その他、業務上で、以下のような特徴が見られるケースがあります。
・お客様からのクレームが増えてきた
・数字のミスが増えるといった仕事の質の低下
・同僚との人間関係の変化
また、反応が鈍くなってきたり、声を出さなくなるといった「口数が減る」というのも一つのサイン。
このような症状があっても、最初のうちは本人が隠したり、
いつも以上に頑張ってカバーしたりするため、周囲の人が気づかないこともあります。
働き盛りの世代では、自分の苦しさをギリギリまで押し殺して頑張って、
その反動で一気に抑うつ症状が現われ、ついには自殺にまで追い込まれる傾向にあります。
会社側は、こうした社員のサインに気付いたら、うつ病を疑うようにしてみてください。