コミュニケーション能力が著しく低い会社に入った時、
やっと仲良くなれた年下の女の子が、しばらくするとうつ病になっていました。
兆候として、情緒不安定だったり、会社を休みがちだったり、奇声を発したり、泣き出す…
といった『精神病』のイメージの症状は全く無く、いたって通常通りでした。
少し気になったのは、出勤の時間がギリギリになった事と、昼食時間に姿を見なくなった事。
とはいえ、出勤の時間にはちゃんと間に合っているし、昼食時間に姿を見ないだけで、
お弁当でも持ってきているんだろう…と思っていました。
そのため、周囲も全く気づくことがありませんでした。
本人に持病があるため、いつもどおり通院をしている病院に行くと、
様子がおかしいので精神科を受診するよう言われ、
『病院に行ったらうつ病だった』と告白され、私もビックリしました。
仕事も問題なくこなし、人とのコミュニケーションも全く問題はありません。
『兆候あった?』と聞くと、『ずっと眠くて、朝起きられなくなった。
眠すぎて、ご飯よりも睡眠を優先してたら、ご飯も食べなくなった』と、
彼女自身が感じている自分の状態を話してくれました。
うつ病ではありませんが、私も以前アルコール中毒で病院に通った時、
精神科の先生に、『お酒やめないと、この後依存症になって、その後はうつ病になるよ』と言われ、
睡眠薬と精神安定剤を処方してもらった経験がありました。
『自分が異常である事がわからない状態』や、『理由の無い焦燥感』など、
私が経験した状態を話す事で、彼女の現状に共感した接し方を努めました。
すると、アレが辛い…、自分がダメな気がする…など、気持ちを少しずつ口にするようになりました。
『こうしたら改善する』や『私だったらこうする』、『そんな考えじゃダメだよ』など、
アドバイスや意見は必要ないと思います。
話を聞き、同じ立場になれるよう共感してあげるだけで、
日々、症状が改善されていくのが少しずつ見えました。
『今日は薬の影響で朝から泣いてしまった』とか、『今、仕事にまったく集中できない』など、
頑張って普通を取り繕っていた状態から、自分が病気でダメだと思う事をどんどん口にする事で、
彼女の鬱憤が溜まる事なく消化されているのがわかりました。
そのうち、ダメな話の中に、『今日は化粧をした』とか、『急に牛丼が食べたくなった』など、
意欲的な言葉が混ざる日もあり、回復に向かっているのを感じていました。
結果、半年経過すると、薬の量が減り、眠気も治まったようです。
『なんの話でも聞いてくれてありがとう』と彼女から言われた時、
『自分だけではない』という事と、『病気だから仕方がない』と思えるよう共感する事が、
接し方として間違っていなかった事を実感できました。