うつのくしゃみを見落とさない

うつは心の風邪。

誰だってかかる病気のたとえです。

いくら普段健康で、丈夫な体の人だって風邪くらいはひく。

それで、うつも同じように誰でもかかるものという意味で、心の風邪と言ったものです。

 

しかしながら、専門家に言わせると、風邪ではなく肺炎だと言うのです。

風邪と肺炎とでは大違いで、肺炎は死ぬことがあります。

もともとは風邪だとしてもこじらせて肺炎になれば死ぬかもしれない。

 

うつだって死ぬことがあるのです。

もちろん、うつそのものが死因ではありません。

死ぬ場合はたいていが自死です。自殺です。

 

誰だって、もうやってられない、どうなってもいい、

と自暴自棄、破れかぶれな気分になることはあるものですが、

最後の一歩に踏み切ることはそうそう多くはありません。

 

しかし、うつは、その一歩を踏み出してしまう。

ハードルが低くなっているのです。

 

知り合いがうつになりました。

うつは比較的まじめな人がなりますので、彼もうつ状態ながらも仕事に出てきていました。

仕事は営業で、しばしば外出するために、職場の人が気付くのが遅かったのかもしれません。

 

外回りは営業車を使います。

その車で高速道路を運転中に、ふらふらと考えていた自分に気付いたそうです。

次のカーブでハンドルを切らず、そのままガードレールに突撃したら死ぬだろうな。

それはそのとおりなのですが、それは「死んだら楽だろうな」という意味でもあります。

ちょっとだけハンドルをこっちに切れば、楽になれる。

ブレーキを踏むことをやめれば、このつらい状況から抜け出せる。

やってやろうか。次のカーブでやってやろうか。

なかば本気で考え始めていることに気付いた彼は、

そのときに妻子の顔を思い浮かべて、それで思いとどまったそうです。

 

自分はなにを考えているのか。

どうしてこんなことを考えるようになってしまったのか。

すぐに高速道路のパーキングエリアに停車して、車のなかでさめざめと泣いたそうです

これまで我慢を重ねてきたものが、堰を切って涙と嗚咽になって噴出したのでした。

 

それで回れ右をして、その足ですぐに専門医にかかり、翌日から休職を願い出ました。

危ないところでした。

彼の場合、自分で自分の危なさに気付いたからよかったものの、

そうでなければ高速道路で事故死として片付けられていたかもしれません。

 

シグナルです。

うつであれ何であれ、自殺にはシグナルがかならずあります。

普通に暮らしているようでも、どうしてあの人がと思うような人でも、

かならずサインがあり、たいがい周囲は後になって

「ああ、そういえば思い当たる節が・・・」と気がつくものです。

 

気付くこと。まずはそれが大事です。

サインを見落とさない。家族でもいい、同僚でも、先輩でもいい。

近くの人、本人をよく知る他人が気付いてやること。

これがうつを自殺から遠ざける決め手です。

 

風邪をひいている人が周囲にあたりまえにいるように、

うつのくしゃみをしている人もきっと周囲にたくさんいます。

そのくしゃみを見逃さない。風邪もうつも引き始めが肝心で、

それが肺炎になる前に、専門医につれいていくべきなのです。



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