私はうつ病の当事者です。これまでの経験をお話したいと思います。
私は中学時代から突然気分の落ち込みや、激しく悲観的になるようになり、
また気分障害によって会話能力が落ち、コミュニケーション能力が乏しくなりました。
まず会話ができないことが原因で仲間外れにされるようになり、うつ状態が更に悪化しました。
学校は苦痛でしたが、幸い不登校にならずに無理をしていましたが学校には通えていました。
今思えば、この『うつ状態を無視したままの社会生活』が、うつ悪化の原因だったのかもしれません。
20歳を過ぎた頃、職場環境のストレスで精神状態が悪化し、ようやく精神科のドアを叩くこととなりました。
そこで初めて自分がうつであると診断を受け、引きこもりから社会復帰に向けての長い道のりが始まりました。
まず、もう以前のように一般就労に就くのは難しいだろうと考え、
主治医と相談し障害者手帳を取得することにしました。
障害者手帳を取得後、障害者の就労を支援するセンターに登録して障害者専門の職業訓練校に通い、
基礎からビジネスマナー・履歴書・職務経歴書・面接等の練習をしました。
特に、対人緊張の強い私は面接練習が大変でした。
しかし、訓練学校の先生方はミスをしても怒ったりせず、
緊張をできるだけ緩和させるようなアドバイスをしながら練習をしてくれました。
(目を見て話すのではなく、眉間や顎を見て話す等)
訓練学校を卒業後、支援センターと相談しあい
ハローワークの専門援助部門(障害者専門の求人部門)に登録し、
まず負担のない短時間からのパート職を探しました。
様々な職種を受け、20社近く落ちましたが、やっと某小売店の販売補助の仕事に就けました。
その企業は精神・発達の障害に理解があり、毎月支援者を交えて面談をし、
困っていることやしんどいことなどを上司と相談して長く勤められるよう企業全体が工夫をしてくれました。
私の他にも多数、精神・発達障害を抱える方が勤め活躍しています。
現在私は小売店を退職し、障害支援の仕事に関心を持ち、就労支援A型の企業を立ち上げました。
私のこれまでの経験から、うつ病の方が社会復帰をするに必要なことを要約すると、
支援センター・職業訓練校・ハローワーク専門援助部門等、
様々な社会資源を活用することが必要不可欠ではないかと思います。
うつ病の方が、たった一人で社会復帰することはとても難しいことだと思います。
うつの症状により、健常者に比べるとハンディキャップは多々あると思います。
そして私が一番問題に思うのは、社会資源の活用を知らず、
一人悩んでいる方がこの社会に大勢いることだと思います。
そういった方々を一人でも少なくするためにも、
社会資源の活用を広く知っていただく必要があると思います。