老人性うつは一人暮らしのご老人にはよく起こると聞きます。
わたしも、過去にそんな方に接した時のことを思い出します。
環境の変化についていけなかったり、寂しすぎて不安が押し寄せたりすることが多く起こるそうです。
どこに心の置き場を持って行けばよいのかわからない時、
話を聞いてあげる人が近くにいるだけでも人はほっとするものです。
手紙でもよいと思います。
離れていれば、電話や手紙で良いので、「あなたのことをいつも思っていますよ」と、
定期的に気遣っていることを伝え続けました。
その言葉がどんなに嬉しいかったかと後で聞いた事があります。
心療内科等に行くと、想像以上に自分と同じような患者さんが多かったそうです。
自分だけじゃないんだとわかって安心されたと聞きました。
「わたしでよかったら、溜めこまないで話して下さいね。」そう言い続けました。
ある時には自暴自棄になられて、攻撃されたこともありました。
些細なことでも苛立ってしまうことがあるのだと思ったので、その時はそっと見守っていました。
ご自身の身辺にいる人の悪口を恐ろしいほど書いた手紙も届きました。
さらに、わたしの悪口も数多く書かれていました。
わたしもか・・・と思ったら悲しく思いました。
けれど、このようなことを言える相手として、わたしが置かれているのだと思ったら、気分も切り替えられました。
いつか、きっと雨は晴れになると信じて祈っていました。
うつの辛さはわかっていてもどうにもならない思いでもあります。
自分がそうなってしまいそうに落ち込んだりもしましたが、気をつけて、ならなければ良いのだと思いました。
「大丈夫、大丈夫、今日はお元気ですか?」「今日は何回笑いましたか?」
時々、電話口ではそう訊ねてみると、快い返事がくるようになりました。
食べ物の話、お花の話、季節の話、動物や小鳥の話、
明るいニュースの話題(暗いニュースは禁句)、
他愛もない会話でも喜んでもらえるなら、何でも話題を見つけてあげたいと思いました。
自分が愛されていることの喜びや感謝を毎日の生活の中で何度も何度も体験しているうちに、
少しずつ気分が前向きになって行かれました。
友人を作ったり、サークル等にも参加したりされるように勧めました。
もしも、自分がその年齢になって一人だったらと思うと悲しいことなので、
友人をたくさん作っておきたいと思ったからです。
趣味の会等に出かけられるようになってから、少しずつ感謝の心が増えて来て、笑顔も増えてきました。
孤独の時間は続くかもしれませんが、気がついた時に、誰かがそばにいる安心感、
一人じゃないと言う安心感だけでも、心の持ち方は違うと思います。
我慢しなくていいことも添えてあげると良いと思うシーンも多くありました。
受け入れる姿勢も大事かもしれません。
話を聞いてあげるだけで、いつも安心されて笑顔が増えていました。