私は、福祉事業の就労継続支援A型事業所にて働いています。
ここでは何らかの精神障がいを抱える人がたくさんいます。
とりわけうつ病の方は多く、患っている方への接し方には日々苦慮しています。
まず、患っている方の性格、
すなわち自分の状態を他の方に向けて話せる方と話せない方によって
接し方は変わります。
自分の状態を誰かに話せる方に対しては、
まず第一にどんなにネガティブな発言や矛盾があろうとも受容することが大切だと思います。
会話を成立させようと、話している途中でこちらから遮ると、
苦しい状態をアウトプットして今の自分を受け入れてもらいたい
という気持ちを否定されたかのように受け取る方が多いからです。
まずは、話が終わるまでとことん聞いて受容することが第一歩だと思います。
その上で、共感を示す言葉を用いて「あなたに寄り添って会話していますよ」というメッセージを送ります。
会話の内容がどれだけマイナスでも着地点を無理にポジティブに切り替えることはしないほうが良いと思います。
ご本人の中で答えが分かっているなら話しかけてこないからです。
どうしようもない苦しさを吐露しているんだなとこちらが優しい気持ちで向かえることがポイントと思われます。
ただし、ご本人が話していくうちにどんどん不安定になるときには注意が必要だと思います。
そういうときには、やんわりと話を切り上げて
「まず、お茶か珈琲でも飲んで一服しましょう」
と気持ちの切り替えをしてもらうことが有効と思われます。
逆に話しているうちにポジティブになるときにはできるだけ会話から
相手を褒める部分を逃さずに優しく盛り立てます。
うつ病の方の状態を図ることはとても難しく、急に乱高下することもあり、
なによりも「どんなあなたでも寄り添ってますよ」という雰囲気を作り上げることが
ご本人にとっての居場所を作り上げることにつながるからです。
自分の状態を話せない方の場合は、まず顔色と様子を失礼のないように時々窺うことが大切と思われます。
基本、こちらからたくさん話しかけることはあまり良い結果を生まないことが経験上多くあります。
キーポイントはその人と話せる共通の話題を最低一つ作ることです。
趣味(とりわけゲーム)や天気などの世間話、
なんでもよいからこちらからやんわりと話しかけるきっかけを生み出すよう努力します。
「体調はどうですか?」と直に聞くと嫌がる方もいますので、
作り上げたその方との関係性に応じて話のさじ加減を調整します。
大切なポイントは、「あなたのことを気にかけていますよ、ここにいていいですよ」
という受容と居場所作りをすることです。
元来、うつ病の方は好きでそうなったわけではないので、
人として品格を持って接するということが大前提になります。
そして、コミュニケーションスキルを高めていくよう努めていく姿勢が必要です。
接する方が専門家ならともかく、基本できるだけ下から優しく支えてあげる
といった見地がうつ病の方を受け入れる環境構築につながると思います。
以上のようなことを気に留めながら日々うつ病の方と接している毎日です。