母がうつ病になって

私が中学2年生のとき、母が仮面うつ病になりました。

父が数年前から単身赴任になり、

依存心の強かった母は毎日の生活に耐えられなくなってしまいました。

 

私には姉と弟がいて、3兄弟の真ん中です。

私は中学2年生で、おそらく人生で最も多感な時期に、

なぜか私が母のうつ病を真正面から受け止める事になったのです。

 

いつから始まったのか全くわかりませんが、気づいたときにはすでに母は正常ではありませんでした。

「生きているのがつらい」

「あんた達は楽しそうでいいわね」

「なんで私ばかりこんな思いしなくちゃいけないの」

「パパは何で帰ってこないの?」

 

最初こそ私に話しかけていましたが、

陸上部だった私は家に帰ればぐったりと疲れていて

話を聞いている余裕はありませんでした。

姉はそんな母を相手にせず、むしろ敬遠して家にいる間は部屋に閉じこもるようになりました。

 

母は、おかしくなってからも専業主婦として毎日の掃除洗濯炊事と何事もないようにこなせるのです。

しかし何もしていない時はひどく落ち込み、

人生の終わりはまだ来ないのかとつぶやき床に視線を落としていました。

 

そんな毎日が続いて、祖母も心配して通ってくれるようになりましたが、

父親はさらに帰ってこなくなりました。

 

私は中学3年生になり、夏からは受験勉強のため学校の帰りには図書館で行き、

時間になればそのまま塾に行きました。

できる限り家にいないようにするのは簡単でしたが、

塾は21時までなのでそのあとはどうしても家に帰らなくてはなりません。

 

部屋のドアを開けると、母が私のベッドの上でうつ伏せでうずくまっているのです。

耳を近づけないと聞こえない程小さな声で、

「死にたい死にたい死にたい・・・」と私が部屋に入ってくるとつぶやき始めます。

母はどんどんおかしくなり、突然泣きながら部屋に入って来る事もありました。

 

祖母の説得で母はようやく近くの病院に入院し、紹介状を書いてもらい精神科へ移る事になりました。

窓が10cmも開かないその病院では、母は概ね正常で、

昔のように笑い、穏やかで優しく、私の受験の事を心配してくれました。

母がいない家はとても安心できて勉強もはかどりましたが、

その状況は罪悪感が強すぎて私は夜な夜な夢で、

母との思い出を走馬灯のようにフラッシュバックするようになりました。

 

夜中に飛び起きて、目を覚ましてからも頭の中の映像は流れ続け、

壁に頭を必死で打ちつけて額が割れ、ベッドが血まみれになった事もあります。

そんな状況でも私は受験にどうにか成功し、高校に入学するも

母から伝染したと思われる情緒不安定のせいで、

精神安定剤を飲み1日のうち何時間かを

高校の誰も来ないベランダで座り込んでやり過ごしていました。

 

友人と遊んでいるときや、彼女と一緒にいるときも、

母から不意に電話が来て呼び戻される事が多々ありました。

そのたびに説明し、謝り、必ず埋め合わせをするからとその場を後にしました。

 

母はその後てんかんを発症し、入院しました。

薬の副作用によるものなのか、精神障害≒脳の故障であるせいなのかわかりませんが、

ある日の夕方に祖母と2人でいるときに突然ショートしてしまったのです。

しかしそれでよかったのかもしれません。

その日を境に母の薬は減り、私は安定剤を飲まなくなり、退院した母と散歩したりするようになりました。

 

母はその依存心から薬に依存していたのですが、

副作用の可能性ということで薬の呪縛から解き放たれ、少しずつ回復に向かい始めました。

私が成人した時には多少の多弁が残っていたものの、今では概ね元通りの母に戻りました。

 

生活は元通りにはなりませんでしたが、私もその当時の影響少なく、

今では遠く離れた地方で自分の家族と共に生活しています。

 

そして年に1回の帰省の時は、母とすっかりボケてしまった祖母が孫達を笑顔で迎えてくれます。

皮肉な事ですが、祖母がボケた事により母はさらに正常になったのでした。


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