私自身のうつ病の体験と、家族・友人とのかかわり

始まりは、友人からの「仕事でうつ病になって休職になった」という連絡でした。

気の許せる友人であるものの何と返事を返していいのかわかりませんでした。

とりあえず「大変だったね、ゆっくり休めばいいよ」と返しました。

 

それから1週間ほど経ったとき、もともと私自身も当時働いていた職場に対し不満があり、

日々の出勤に嫌気が刺していました。

頭の中では「社会人としてしっかりしなきゃ!」と思い出勤していましたが、

心の片隅では「私も友人のように、ダメになったら休職すればいいや」と思うようになっていました。

 

その後出勤したり、休日でも仕事の事を考えたりすると

頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれが出現するようになり、

心療内科へ受診しました。

 

最初は抗不安薬が処方されましたが、ついには足がすくみ出勤することが出来なくなり、

うつ病と診断され休職に至りました。

 

診断の結果をまず最初に伝えたのは、同じくうつ病と診断された友人でした。

生活のために一生懸命働いていたが、働くことで生きがいである趣味に時間を費やせなくなり

何のために働いているのかわからなくなった事、

働けなくなった自分に対する情けなさや家族・職場に迷惑をかけることに対する

申し訳ない気持ちについてなどを話していました。

 

「生きがいもなく、労働する能力もなくなった今、どうすればいいのだろう」

と二人で同じ悩みを抱えていました。

その後家族に診断に至るまでの経過を話し、

当時一人暮らしをしていた私は実家で過ごすことに決めました。

 

両親はずっと今後のことを考え私に尋ねていましたが、

うつ病の私にとっては今後のことなんてどうでもいいことでした。

今は貯金を食いつぶして無くなれば干からびてしまえばいいと思っていました。

 

両親も医療従事者だったためうつ病に対する知識はあったのですが、

同じ家族として私の将来に不安を抱き、私の為にかけてくれた言葉でしょうがそれも無意味でした。

私は1日1日をダラダラと過ごし、減っていく預金を見て自分の最期が近づいていると思っていました。

 

ある日、妹が自室で趣味の創作をしているのを見かけました。

妹は、私が卒業した看護学校の学生でした。

私は一生懸命自分の趣味に打ち込んでいる妹を見て“とても楽しそうだ”と感じました。

 

私は妹に自分の生きる目的を見失っていることを話しました。

その話を聞いた妹からの言葉は「自分が楽しいと思うことを見つければいい」

ということでした。

私を目標にし、私と同じ道を歩もうとしている妹は今の私の姿を見て

「どんなに苦しいことがあってもそれを支えてくれる楽しいものを見つけようと思った」と言いました。

 

辛く苦しい状況に立たされたとき、楽な方向へと逃げたくなるのは誰にでもあることだと思います。

特に誰かが難を逃れたのを見たときは尚更逃げたいという気持ちは強くなると思います。

私は仕事から逃げたくて、そして難を逃れた友人を見て、

結果的には友人と同じうつ病になり休職に至りました。

うつ病は病理学的には感染するものではありませんが、

挫けそうな心理状態の時に難を逃れた人を見てしまうと釣られて心が折れてしまうように思えます。

 

うつ病になるとそんな自分を「何もできない」「負けた」「生きる価値がない」と責めるようになります。

「そんなことないよ」「大丈夫だよ」という言葉は私にとってはただの気休めでした。

心配してくれた同僚やほかの友人の言葉も、私には何の意味も持たないただの文章でした。

 

身内や心を許した友人以外には会いませんでした。

そんな中で私がやりたいと思えたことは、趣味だったゲームと大好きな愛鳥の世話でした。

 

妹の「楽しいものを見つけようと思った」と言う言葉に私は正面から向かいました。

仕事のことは考えず、ひたすらゲームと愛鳥に向かっていました。

他の人から見れば、好きな事しかしない“穀潰し”に見えるでしょう。

実際そういう風に見られるのが嫌で人に会いたくなかったのです。

 

けれど次第に自分の好きなことに視線を向けることで、

好きな事を続けるために小さなことでもいいから家族に貢献しようと思うようになりました。

それは洗濯や掃除などの家事や些細な事です。

友人も私もそうして過ごすうちについには復職に向けての一歩を踏み出そうとしています。

 

うつ病の人との接し方…と言われると難しそうと思われるかもしれません。

ですが私や友人にとっては普段通りの冗談を言い合う生活や、

嫌な事を忘れさせてくれるくらい楽しい思いをさせてくれるのが一番だったように思えます。

 

心から笑える生活ができれば、おのずと大きな心の支えができると思います。

そのためにも同情や気遣いなどではなく、

家族や友人の方は人生の楽しさに一緒に触れてあげてください。



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